改修工事が目立つパリ、工事の足場を覆う美しすぎる覆い⁈

大きな改修といえばポン・ヌフの右岸側のそばに建つ「ラ・サマリテーヌ」(La Samaritaine)が挙げられるだろう。1869年にオープンしたパリの老舗デパートで、2001年にLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)が買収し、2005年には建物の老朽化など防災安全上の理由によって閉店した。

その後、何年間か閉店したままだったが、2010年にLVMHがリニューアルに向けて改修することを決定した。その構想はデパート、オフィス、住宅、ホテルなどを備えた複合施設に生まれ変わるというものだ。設計は日本の建築家ユニットSANAA(サナア:Sejima and Nisizawa and Associates)で、ガラス張りのデザインへの建て替えである。当初の予定では2014年にリニューアル・オープンすることになっていた。

しかし、これに対して景観保護団体などがデザインに対して不服申立てを行って、一審は工事許可の一部を取り消し、工事が中断されたが、後に再開され現在に至っている。

こうした紆余曲折があり、今は覆いがかけられて、その上からはクレーン車が顔を出し、工事が行われている。リニューアル・オープンが待たれるところであるが、ホームページを見ても竣工予定日は載っていない。

ショッピングの楽しさが伝わってくるイラストとカップルのイラストのサマリテーヌ。/Photo:Ayako Goto

それにしても、ポン・ヌフを渡っているときに目に入ってくるサマリテーヌの改修工事の覆いの何と、チャーミングなこと! 覆いにも気を使い、街の中での調和を考えているところが本当にパリは素晴らしいと思う。

レ・アールに行くと、壮麗な教会、サン・トゥスターシュ教会に覆いが掛けられていて修復中である。大きな建物なので、何年かかけて修復を進めているのであろう。覆いは部分的にかけられているのだが、そこには建物のデザインに合わせてデッサンが描かれ、その上部にかけられている覆いはシースルーの素材で建物のデザインが見えて、覆いに描かれたデッサンとよく合っている。実に繊細なやり方で目を見張る。

建物に合わせた実物大のデッサンとシースルーの覆いをかけたサン・トゥスターシュ教会。/Photo:Ayako Goto

ここの教会は1637年に約100年かかって完成し、外部はゴシック様式、内部はルネサンス様式で、パリで最も美しい教会の一つと讃えられている。パイプオルガンも有名でリストやベルリオーズが演奏したことがあることでも知られている。

また、モーツァルトのパリ滞在中に、同行していたモーツァルトの母親が体調不良で亡くなってしまうのだが、モーツァルト参列のもと、葬儀が執り行われ(1778年)、母親は現在もこの教会で眠っている。

コンコルド広場に面した建物も改修中で、真ん中は巨大な広告で覆われ、その広告の上部はパリのパノラマ写真になっている。両脇はきらびやかなシャンデリアの部屋の拡大写真を使っていて、工事の覆いというよりは真ん中の広告を補う装飾といった感じで、バランスが取れていて美しくまとまっている。左側の建物はホテル・クリヨンだが、ここは7月上旬にリニューアル・オープンしたばかりである。

コンコルド広場の巨大な覆いはサムソンの広告で、その上部にはパリのパノラマ写真。左右の建物にはシャンデリアの写真が使われて。/Photo:Ayako Goto

コンコルド広場のすぐ近くのカンボン通りを入って行くとサントノレ通りと交わるが、その角にはシャネルの大きな看板が建物を覆っている。このカンボン通りをそのまままっすぐ進むと数件先の左手にシャネルの本店があるのだが、どうやらシャネル店の拡張工事であるようだ。

工事の覆いは、カール・ラガーフェルドのデッサンでひときわ目を引く。サントノレ通りに面した方はカノティエを被ったココ・シャネルが、カンボン通り側はシャネルスーツを着たマヌカンが描かれている。そして側面の方には「工事中もカンボン通り31番地のブティック・シャネルは営業しております」と書かれていて、それに続いてシャネルの傘下である帽子のミシェル(Maison MICHEL)は22, rue Cambon、スコットランドのカシミア・ニットウエア・メーカーのバリー(BARRIE)は23,rue Cambon、ビジュー・ファンテジー(コスチューム・ジュエリー)のグーセンス・パリ(GOOSSENS Paris)は416, rue Saint Honoré と、周辺にあるそれぞれの店名と住所が記載されている。シャネル側にとっては宣伝になるし、消費者にとっては3店とも近くにあるのでわかりやすく、行きやすい。

これらの覆いがパッと外されたときには、どんなふうにリニューアルされたのかいずれも今から楽しみである。

Photo:Ayako Goto