必見!?『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』大回顧展

まず入り口から階段に続くところでは、階段の上のスペースに、ムッシュー・ディオールの顔写真やショーの写真が映し出され、「ようこそ、メゾン・ディオールへ」といった素敵な雰囲気作りがなされている。

「ようこそ、メゾン・ディオールへ」。美術館を入って左手にある。/Photo:Ayako Goto

展示はムッシュー・ディオールの幼少期から始まり、上品な母親の写真、家族と暮らした家の優雅なインテリアの写真などもあり、またリュシアン・ルロン時代に描いたデッサンは初公開ではないかと思う。よくディオールの写真集などで見るベルナール・ビュッフェがディオールを描いた絵画も展示されているが、その絵を自宅のサロンに飾って、そこにディオール自身がいる写真もあって、なかなか興味深い。

クリスチャン・ディオールがデザイナーになる前に画商だった頃に使っていた椅子なども展示されていて、全体を通して、彼が上質を好み、趣味のいい人だったことがよくわかる。

メゾン設立の10年後、ディオールは急死し、21歳のイヴ・サンローランが後継者となるが、当時のサンローランの写真を大きく引き伸ばして、その前にサンローランが作ったディオールの服が何点か展示されている。この見せ方は、その後のマルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、そして現クチュリエールのマリア・グラツィア・キウリまで、同じような見せ方をしていて、歴代のディオールのデザイナーの作品が一堂に会している。

ディオール急死後、後継者となった若きサンローラン。服はサンローランが作ったディオールのオートクチュール。/Photo:Ayako Goto

このように隣り合わせに展示がなされると、それぞれのデザイナーの特徴がよくわかる。1点ずつメゾン・ディオールのアトリエが作るものだから、バランスよく入念に作られていて完璧で美しい。しかし、一方、アイディアや才能のきらめきといった微妙なものもはっきりと表れる。クリエーターの趣向、創造力、教養などが問われるといっていい。そんなことを強く感じるコーナーである。

パンキー、絢爛豪華、エキセントリックなジョン・ガリアーノの作品とガリアーノ。/Photo:Ayako Goto

このコーナーでは、「アンファン・テリーブル(恐るべき子供)」と呼ばれ、エキセントリックでパンクなガリアーノのクリエーションの素晴らしさが余すところなく展開されている。これはディレクションを担当したここの美術館の館長のオリヴィエ・ギャベとキューレーターのフロランス・ミュラーの考えが強くあらわれたものだろう。写真もパトリック・ドゥマルシュリエやニック・ナイトら90年代の当代一流カメラマンの作品が選ばれていて、これはガリアーノの服が彼らの創作意欲をかきたてたことに他ならない。

ホールの方に場所を移すと、見せ方が大胆でこんなモードの展覧会がかつてあっただろうかと、初めて見るスケールの大きさに圧倒される。ホールなので天井までの高さは展示室とは全く違い、とてつもなく高い。そこを4〜5段に組んで白いトワルの服(仮縫いのためのもの)だけを展示して、おまけに鏡を使ってさらに強調するといった手法で、とても美しく効果的に見せている。

最後はイヴニング・ドレスやガラのためのドレスを集めて、華やかさの頂点を持っていき、時々光の洪水を作って効果を上げている。

300点以上の服が出展され、その全部はとても一回で見てまわれるものではない。展示の構成も、演出もよく練られ、また展示品の大部分はメゾン・ディオールのヘリテージのものだが、それだけでなく、メトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート美術館、ガリエラ美術館、グランヴィルのクリスチャン・ディオール博物館などのコレクションも加わって、素晴らしい展覧会となっている。

会期は来年、2018年1月7日まで。
パリ装飾芸術美術館 「Christian Dior, Couturier du Rêve」
107, rue de Rivoli 75001 Paris
開館:火曜〜日曜11:00~18:00 木曜11:00~21:00
休館:月曜

Photo:Ayako Goto