ダシュウッド・ブックス店主が作るダウンタウンカルチャーと写真の未来(後編)

そもそも書店を始めるきっかけとなったのはマグナムを退社したあと旅した東京でワタリウム美術館に併設された書店「オンサンデーズ」を訪れたことだ。

「自分自身で何かやってみたい、そう思いながら東京を旅していた。そんなとき遭遇したのが『オンサンデーズ』だった。当時ニューヨークでは見たこともないような写真集ばかり売っていて、雰囲気もどこかブティック風。こんな店だったらファッションデザイナーとか映画やグラフィック関係の人など、いろんなタイプの人が興味を持ちそうだ、と感じた。それがダシュウッドを開くアイディアにつながった」。

Photographs by Akiko Ichikawa

デジタル写真がますますポピュラーになっている今、スマホやパソコンのスクリーンでなくて、写真を本で見る価値とは? 「写真集は一枚の画像が独立しているのでなくて、前後にも画像がある。つまりナラティブ(物語)があるんだね。装丁のセンシビリティも含めて」。

そして写真集は出版されたら、それがずっと後世に残っていくものでもある。時にはその写真家よりも、そして私たちよりもずっと寿命が長いかもしれない。

「本とは一旦出版されたら、独自の生命を持って歩んでいく気がする。編集者としてはすべてをコントロールしたいと思うけれど、それは不可能。手に取った人が予想もつかないようなリアクションをしたりするからね、でもそれは仕方ないこと。そういう意味では本も子供と一緒かもしれないね」。

写真集は書店地下にある小部屋で編集されている。様々なサイズの本が堆く積まれた薄暗い空間は胎内のような、と例えてもよいかもしれない。今も荒木経惟やロエベの広告写真などで活躍するジェイミー・ホークスワースなど複数の新刊タイトルを編纂中だ。

Photographs by Akiko Ichikawa

 

ダシュウッド・ブックス店主が作るダウンタウンカルチャーと写真の未来(前編)

Name: David Strettell   デヴィッド・ストレッテル
Occupation: ダシュウッドブックス オーナー
Location: ノーホー、マンハッタン
https://www.dashwoodbooks.com/

Photographs by Akiko Ichikawa