フレンチ・ラグジュアリーが考える 2074 年の楽観的な未来とは!?

コルベール委員会のコミッティメンバーは、銀器や陶磁器、服飾や宝石、家具、香水、ワイン、ガストロノミー、ホテル、自動車、出版など13種の職種にわたり、500年の歴史を誇る老舗ブランドから数年前に創業したばかりの若いブランドまでさまざまだ。

これらの企業が世界中で莫大な売上を生みだしてきた背景には、伝統的な職人の手仕事から最先端技術まで、クリエイティブに支えられた製造部門はもちろんのこと、夥しい数の従業員と顧客の存在があることはいうまでもない。

王侯貴族に代わって巨大資本が経済と文化を動かす現代、委員会の立ち位置は、もはやフランス一国のローカルな商工会から、EUの経済発展、さらにグローバルに社会的・文化的役割を担う組織までになったといえる。

大規模なネットワークと影響力を誇るコルベール委員会は、フランスの経済成長の間違いなく主軸であるラグジュアリー産業の活動を世界に広めるため、この「L’Art de vivre」というフランス人の矜持ともいえる審美眼を活かし、さまざまな文化プロジェクトに力を注いできたという。

2014 年、創設 60周年にあたり、「ユートピア・ファクトリー」と名付けられた会議では「60年後の理想の世界とは何か」というテーマが話し合われた。

SF作家6名、音楽家、言語学者が、メンバー企業の店舗やアトリエ、工場などに招かれ、ワークショップや討論を通して、ラグジュアリーの現実、創造性、矛盾、そしてフランス文化のルーツを調査研究した。その成果として6編のSF小説と、1編の音楽、14の新言語が創作された。デジタル作品として発表された翻訳版をこちらのサイトで観ることができる。

フランスのラグジュアリーの粋×未来小説:http://www.rever2074.jp/

さらにその一環で、日本限定のプロジェクトとして「2074、夢の世界」アワードが設立された。これは東京藝術大学美術学部の学生だけを対象としたもので、前述のSF小説・言語からインスピレーションを得て「60年後の未来のユートピア」を表現した作品を選抜するコンペティションである。

最終審査の様子/Photo: Yasuyuki Takagi © COMITÉ COLBERT 、東京藝術大学

2016年夏、第1次審査で選ばれた50組の学生たちは作品制作費20万円を支給され、約半年かけて制作を行ってきた。2017 年6月、上野の東京藝術大学大学美術館にて展覧会形式で最終審査が行われ、3名の若いアーティストの作品が優秀作品に選ばれた。いずれもコンセプト、美学、テクニックの点で緻密に構成され、洗練された作品だった。受賞者3名はコルベール委員会よりパリに招待され、10月18日から開催されるFIAC(フランス国際コンテンポラリーアートフェア)に特別展示される予定だ。

2つの点でこのプロジェクトは興味深いと思った。