砂漠の真ん中に癒しの湯治場!?カリフォルニア『テコパ温泉』

アメリカのデスバレーを目指す旅をした時のこと、何マイルも続く砂漠を行く途中に、突然小さなオアシスのような場所が現れます。カリフォルニアのデスバレー近く、砂漠の真ん中に湧く『テコパ温泉』です。

Photo:HIROKO ISHII

源泉温度45℃を湯船にかけ流し。湯船は40℃くらいで、本当にいい湯かげん。うっとりです。指先を入れただけでもわかるほど、つるんつるんのとぅるんとろん。極上の感触の温泉に包まれて大感動、大感激。まさにここは夢のようなオアシスだったのです。

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今の砂漠の風景からは想像できませんが、宿の方にお話をお聞きすると、大昔、このあたりは湖だったそうです。大地のミネラルがぎゅっと濃縮した癒しの泉はネイティブアメリカン(インディアンの種族)たちの湯治場だった歴史あるヒーリングスポット。

泉質は、ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。pH8.0の弱アルカリ性。肌の汚れや古い角質を落としてすべすべにしてくれる美肌泉質、さらに、傷や日差しを浴びた肌を優しく保湿してくれる大地のミネラルがぎっしり。旅人にもここで暮らす人々にも神の恵みの温泉だったことでしょう。

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さて。今回の旅の目的のひとつ、海抜マイナス86m!デスバレー・バッドウォーターに到達です。アメリカ大陸で一番低い場所は、一番暑くて、一番カラカラの場所でした。

気温47℃、湿度ほぼゼロ%。灼熱すぎる場所は、息をするのも熱々。熱風が気管に入ると焼けつきそうです。砂漠にいる民族を想像して、長袖で覆い、口元までスカーフでぐるぐる巻きにしました。確かに、この方がむしろ楽っていうことも新発見です。

Photo:HIROKO ISHII

かつての湖は干上がって、塩とミネラルの道になっていました。表面の塊を触ってみたら、ややしっとりしていて、天日干しした海塩みたい。味わってみたら美味しい塩とにがりの味がしました。地球は生きていて、時の流れの中で様々に姿を変えているのです。

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不思議な風景のモノ湖。今も湖の中で続く火山性活動により、炭酸カルシウムが造り出す大自然のアートです。湖水はかなりの塩分濃度。なめてみると海水よりもしょっぱい。モノ湖の畔にできていた泉を温泉風に撮影してみました。この泉の水をもしも分析したら、おそらく、含二酸化炭素–ナトリウム・カルシウム-塩化物強塩泉的な成分が検出されるでしょう。つまり、冷たくても温泉が湧いているということになるかもしれません。こんな美しい場所の露天風呂が「あったらいいな~」という想像が広がりました。

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旅は砂漠の先へと向かいます。そこには氷河に磨かれた大地と隆起した岩山のヨセミテ国立公園があります。入口のゲート付近は標高3030m。夏でもさすがに寒いです。ヨセミテは、地球で起きた地形の歴史を感じられる場所。一億年前の火山活動でできた花崗岩が、一千万年前に隆起してシエラネバダ山脈となり、200万年前の氷河期の氷河によって削られて、今のヨセミテの風景になっているんです。

Photo:HIROKO ISHII

有名な名所は数々ありますが、最も印象的だったのは「オルムステッドポイント」。氷河がどう動いていったのかがはっきりと読み取れる場所。大きな花崗岩の表面はつるつるに磨かれ、氷河の中に閉じ込められた岩や土砂などによって出来た炸裂痕の陰影が大自然のアートのように残っています。「そんな岩の上をわたしは歩いている」と思うと、自分が今ここに存在していることも、生きている地球の歴史の一部なんだと感じて、とても幸せな気持ちになりました。

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