コラボとポップアップストアというファッション業界の万能薬!?

ポップアップストア「フェンディ 表参道店」オープニングパーティに来場した小嶋陽菜/Photo:Fendi

砂漠のような東京でも…
週刊ファッション日記#48

カラスの泣かない日はあっても、「コラボ」と「ポップアップストア」のニュースがない日はない!というぐらいこの2つはファッション業界で最近多用されている。いい加減にしろよというぐらいである。

どちらも以前からあったが、こんなに気が狂ったような状態ではなかった。なぜ、こんなことになったのか考えてみたが、答えは2つしか思い浮かばない。ひとつはもう万策尽きてしまったから。もうひとつは失敗しても、大したケガをしないからであろう。変なブランドとコラボしてブランドのプレステージを下げてしまった例なんていうのも聞いたことがない。もちろん失敗して売り上げが下がったなんていうケースも聞いたことがない。

2008年に『コム デ ギャルソン』が『H&M』(日本上陸は2008年)とコラボした時には、さすがに「コム デ ギャルソンには失望した」と若干のファンが去っていったというが、たぶんほとんどが戻っているはずである。『H&M』は鼻高々であった。殆どアートとファッションの境界に生きる孤高のアヴァンギャルド・ブランドとコラボすることができたのであるから、これからは、我々をコピー屋だなんて呼ばないで欲しいと胸を張ることなんかはなかったが、そういう風には見えた。ギャルソン社に払った数億円は安いものであった。ギャルソン社はそれで社員のその年の暮れのボーナスを払ったと言われたものであった。川久保玲・社長は「もう二度とやらない」と言ったとか言わないとか。でも舌の根も乾かないうちに『ルイ・ヴィトン』とも『エルメス』ともコラボした。ファストファッションとはやらないが、ラグジュアリー・ブランドとはやってもいいということなのだろう。

最近のコラボの引っ張りダコは『シュプリーム』である。『ルイ・ヴィトン』とコラボしたと思ったら、すぐに『リーバイス』とコラボ。

どっちとも親和性が高いから驚く。トランプのジョーカーみたいなものである。90年代に流行ったスケボーブランドがまるで王様のように君臨しているのを見るとなんとも複雑な気持ちではある。

一方、ポップアップストア(なかなかいいネーミングだ。臨時店舗や仮設店舗じゃ入る客も入らなくなる)だが、これは店側にとっては、客引きの絶好のプロモーションになる。ブランド側にとっても期間内に良い売り上げをマークしたらレギュラー店舗になれるのであの手この手を使って、必死なのである。しかし、現在ではこのポップアップストアに臨時や仮設という意味合いは薄れて、しょっちゅうとっかえひっかえポップアップストアをオープンしている。もう実験やテストの意味合いもなく堂々と予算化している店もある。

5月11日に『フェンディ』が表参道にオープンしたポップアップストアのお披露目パーティに行ってみた。以前に『テッド ベーカー』という風変わりなイギリス・ブランドの店があった。ゼンマイ仕掛けのぬいぐるみの大型犬が店先に置いてあったのが話題になったが、気の毒なぐらい売れなかった。そこにラグジュアリー・ブランドの『フェンディ』がポップアップストアをオープンする。LVMHジャパンが理想科学から土地を借りて隈研吾の設計でビルを建てたONE表参道の1階にブティックを構えていた『フェンディ』だから、ポップアップストアとはいえ復活出店である。閉店した当初とはブランドの勢いも全然違う。この『フェンディ』、最近は話題の銀座シックスの1階のビッグ6のひとつとして君臨している。その前の銀座の路面店と言えば、松屋の道を挟んだ向かい側の玉屋インターナショナルのビルにポップアップストアとして入店していて、銀座シックスのオープンに合わせて退店していた。言ってみれば、これほど見事にポップアップストアを利用しているブランドもない。

来日したシルヴィア・フェンディ(右)/Photo:Fendi

今回の表参道店の期間限定で借りているというが、売り上げ次第ではひょっとしてこのまま定着なんてこともあるかもしれない。地下1階の照明なんかヴェネチアングラスの中にミンクの毛皮が入っていたりしてかなり豪華な作りになっている。レセプションには、ローマからは、フェンディ・ファミリーの一人でブランドのクリエイティブ・ディレクターであるシルヴィア・フェンディも来日するなど、ポップアップストアらしからぬ力の入れようであった。

Photo:Fendi