【銀座中毒者100人×100点】スマイルズ遠山正道Vol.1~銀座のシャンソニエ「蛙たち」のピエールが歌う「あきれたおまえ」

「蛙たち」は銀座で50年以上の歴史のある老舗シャンソニエ。北村ゆみママの義理の弟であるピエールは、1日3回行われるステージの最初に登場し、店側のスタッフとして露払い的な立場に甘んじながら歌う。後に控える歴々シャンソニストがいるのだが、私はそのピエールが歌うその歌が好きである。

そもそもシャンソニエ(シャンソンを聴かせるライブハウス)という存在が非日常である。そして、ピエール。東京藝術大学声楽科出身の本格オペラ畑出身なるも、声量たっぷりのカンツォーネではなく、問わず語りのような、囁くように唄うシャンソン「あきれたおまえ」。異国感は更に、そして時空を越え普段の概念では対峙できない感覚を獲得するだろう。

その異質を担保してくれるのは銀座という地と「蛙たち」の創業50年という時間である。その担保を握りしめて、どっぷりと身を委ねよう。

すこしずれた、ニヤリとした官能が感覚の襞に染み付くことになる。

ピエールが歌う「あきれたおまえ」

「蛙たち」のマネージャー、ピエールさん。彼がステージの始まる前に歌う「あきれたおまえ」はフランス歌手アズナヴールの名曲「Tu telaisse aller(直訳意:だらしない君)」。日本では一般的には「あきれたあんた」という題で女性歌手が女言葉で歌っているが、それをピエールさんが男目線で歌っているのが「あきれたおまえ」。別れた女性への風刺と哀愁がこもった詩が特徴的だ。
「あきれたおまえ」を歌うピエールさんの姿を見れば、まるでそこは舞台が広がったような夢の世界に。パリのうらびれた路地裏で暮らす恋人達の姿がありありと目の前に浮かぶ。
ステージは19:30 /20:45/ 22:00の3回あるが、常にピエールの歌からスタートする。「あきれたおまえ」の登場頻度は多いそうだが、もし違う曲になった場合は次のステージにリクエストするとよい。

店舗情報

蛙たち

住所:東京都中央区銀座西7-8先コリドー街
電話:03-3571-4417
料金:ミュージックチャージ4,000円、ワンドリンク800円〜、ボトル9000円〜

遠山正道
スマイルズ代表取締役社長

1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、「giraffe」「PASS THE BATON」「100本のスプーン」「PAVILION」、1日1組限定で宿泊可能なアート作品「檸檬ホテル」を展開。直近ではGINZA SIXに海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」をオープン。銀座一丁目にある1冊の本を売る「森岡書店」への出資なども行っている。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。

Text : Eri Koizumi
Photo for Smiles::Naoto Hayasaka