【銀座中毒者100人×100点】シンプルなのに奥深い、数寄屋橋サンボアのハイボール

サンボアのハイボールを飲む前と飲んだ後では、ハイボールに対する考え方が変わるんじゃないかな。ウイスキーと炭酸でつくられるハイボールというカクテルは、至ってシンプルなのに、実に奥深い。サンボアでカウンター越しに、ハイボールがつくられる様を目の当たりにするだけで、このバーの扉を開いた価値がある。バーテンダーが専用のグラスにウイスキーをコクコクと注いだ後、炭酸の蓋をシュポッと開けて、ためらうことなく一気呵成にウイスキーが入ったグラスに注ぎ入れるんだけど、そのあまりの勢いに、あぁこぼれちゃうよ、なんてドキドキするのも愉しい。必ずグラスの縁ぎりぎりでぴたっと止まる所作にも、毎度、感動する。初めて体験したときは、うわぁかっこいいとか、おぉすげぇとか、声に出さなくても、きっと何かを思うはず。ちなみに、数寄屋橋サンボアのハイボールは、何も言わなければ、ウイスキーはサントリーの角瓶、炭酸はウィルキンソンを使う。そして氷は入らない。すべてが絶妙に冷えているから、出来る一杯。氷がない分、最後まで薄くなることも、ない。口にすれば、あぁハイボールって、こんなに美味しかったんだ。そんなふうに思う。視覚も味覚も美味しいのだ。銀座のバーだけれど、スタンディングなので、緊張感もないし、注文に悩んだら、ハイボールって伝えればオッケー。敷居は高くないけれど、サンボアは2018年に創業100周年を迎える老舗のバーってのもいい。暖簾分けによって、99年目の現在は大阪、京都、東京に全14店。数寄屋橋サンボアは12番目に出来たサンボアです。

銀座の魅力は、まだわかっていないと思うんです。子供の頃から何となく、大人になったら行くもんだと思っていた「銀座のクラブ」には入ったことがないし、銀座のあちこちに立ち並ぶ海外の一流ブランドショップで買い物したこともない。仕事柄、銀座の飲食店に行くことはあって、銀座のバー、銀座で鮨は何とか体験したけれど、まだまだ憧れる店は星の数ほどある。クラブもブランドショップも美味しい店も、いつか行きたいなとは思っているんだけれど、きっと銀座という街に妄想を膨らませながら、年をとっていくだろうな。実はそんなふうに思っています。身近にありながら、どこか手が届かない。銀座はいつもそんな街です。

数寄屋橋サンボアの「ハイボール」

氷無しハイボールはビール感覚で飲める逸品。初めの1杯として飲むお客さんが多いという。氷を使用しないのは、昔とても貴重だったことに由来。数寄屋橋サンボアでは冷凍したサントリー角瓶1に対してウィルキンソン3で割る。全国14店舗それぞれ作り方が違うので巡ってみてはいかがだろうか。サンボア99年の歴史は『dancyu』2017年2・3月号に詳しい。

店舗情報

数寄屋橋サンボア

住所:東京都中央区銀座7-3-16東五ビル1階
電話:03-3572-5466
時間:17:00~翌2:00、土曜日は16:00~23:00
定休日:日、祝日

江部拓弥
dancyu編集長

1969年、新潟県三条市生まれ。1994年、プレジデント社に入社。プレジデント編集部などを経て、dancyu編集部に。2012年にdancyu編集長になる。

Text : Miki Ozawa