【銀座中毒者100人×100点】寒い時期限定の滋味あふれる蕎麦

銀座という街には、時代の最先端を行く商業施設が次々と新規オープンする一方で、大通りから一本入ると、歴史とこだわりのある個店が軒を並べています。本物であろうとする店主の姿勢からか、街全体に心地よい緊張感があり、それが他の街にはない空気を作っているように思います。日のあるうちは家族で買い物を楽しむことができ、日が暮れれば、艶のある華やかな雰囲気に一変する。そんな振り幅の大きさと懐の深さが、銀座の一番の魅力のように思います。

この街で好きな店のひとつが「泰明庵」。月光荘創業者であった、私の祖父も昼飯時に良く通っていたという、泰明小学校前にある昔ながらのおそば屋さんです。お酒のアテも充実しているので、早い時間から一杯ひっかけるのに最適とあって、蕎麦前ファンも大満足のお店。なかでも好きなのは寒い季節にだけ提供される「せりそば(根っこ入り)」。独特の土臭さがあって、大地の恵みを丸ごと味わえる贅沢な一品なのです。

泰明庵の「せりそば(根っこ入り)」

泰明庵は魚卸店から始業。その後そば屋に替わり、以降60年営業している。せりそばは青々としたせりのしゃきしゃき感と清涼感が心地よい逸品。有り・無しを選べる根っこはゴボウのような味でアクセントとなる。1杯1000円(税込み)。様々な味を楽しみたい人には鶏肉、豚肉をトッピングするのもオススメ(各+100円)。せりそば以外には各種天ぷらそば、今の時期はかき南そばが人気という。

店舗情報

泰明庵

住所:東京都中央区銀座6-3-14
電話:03-3571-0840
時間:11:30~21:00(L.O20:30、土曜日は15:00まで)
定休日:日・祝日

日比康造
月光荘画材店代表

1917年に創業し、藤田嗣治、猪熊弦一郎など、日本を代表する近代画家も通った画材店「月光荘」。その3代目として店を切り盛りしながら、音楽家としても定期的にライブ出演している。2013年に月光荘サロン「月のはなれ」、2014年に月光荘アトリエ「エムゾ」をオープン。銀座8丁目のワンブロックを回るだけで、アートや音楽を自由に楽しめる環境を作り、美意識のある暮らし方の提案を続けている。

Text : Miki Ozawa