箱根のご当地名物のことで頭がいっぱい!? これも旅の幸せ!?

Photo:HIROKO ISHII

部屋に戻ったわたしは「あるもの」のことで頭がいっぱいになっていた。それは、箱根の伝統工芸の「寄木細工」。この宿に到着したときに、まず、目に飛び込んできたのは、寄木細工の新鮮な美しさ。ロビーの棚に飾られた寄木細工は、箱根名物の寄木細工のイメージを遥かに超えて、全く新しいアートとして心を奪われるものだった。

『星野リゾート 界 箱根』は最近リニューアルをして、新しいご当地部屋というのが完成していた。テーマは寄木細工。部屋のインテリアにあしらわれているだけでなく、食器やお盆、ティッシュケースやオブジェまで様々な寄木細工のものが並んでいて、手に取って実際に使って過ごして楽しむことができる。

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これは寄木細工のジェンガ。途中から片手でパーツを抜いて上に乗せる。これを繰り返して崩れたら負け。というゲームである。「ひとりだけど、ちょっとやってみるか」。恐る恐るひとつのパーツを抜き取って、そっと上に乗せる。繰り返しているうちに、だんだんと「ここが外れそう」というパーツが浮き上がって見えてくる。「ひょっとしたら、わたしは天才かも」などと、ひとりでご満悦な状態で気が付いたら夢中になっていた。ランダムに抜かれて重ねられたジェンガも、また、寄木アートに見えてくる。

オセロゲームも寄木細工。これはさすがに対戦相手がいないと盛り上がらないが、木の温もりに触れながらゲームに興じるのはとても癒されるひと時だと思う。

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「和フタヌーンティ」のセットが運ばれてきた。小田原の老舗“ういろう”の和菓子を箱根寄木細工の器でいただく。大正時代から続く露木木工所の寄木細工は伝統模様だけでなく、現代の生活にあうデザイン。そして、軽くて使いやすい。

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ダイニングの夕食の「寄木八寸」。細かな市松模様の寄木細工の蓋を開けると、中からも市松のお料理。海の市松はサーモンとかまぼこ。山の市松は赤こんにゃくと独活。

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驚いたのは、寄木細工のスピーカー!携帯電話をたてて充電しながら置いておくことができるだけでなく、音楽を奏でるスピーカーの部分に穴があいていて、寄木細工の中に音を響かせながら拡声して丸い部分から優しい音になって流れてくる仕組みだ。つまり本来はiPhone用のグッズだが、もはやそんなことはどうでもよい。今夜は枕元の棚に置いて好きな音楽を聴きながら眠ろうと思う。

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こんな風に寄木細工に囲まれて、手に取って過ごしていると、なめらかな木の感触と紋様が織りなす世界感にすっかりはまってしまった。日常の自分の部屋も寄木細工で埋め尽くしたい気分に駆られてしまう。こうして、箱根ご当地名物で頭がいっぱいになってしまうというのは、まさに温泉旅館は地域のショールームの役割を果たしているということだ。「箱根を訪れるたびに、ひとつひとつ寄木細工をそろえていくのもいいかも」。こうしてご当地の魅力にはまり、また旅にでかける理由ができて、旅人にとっても幸せなことなのである。

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■旅館情報

星野リゾート 界 箱根
神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋230
0570-073-011
http://kai-ryokan.jp/hakone/