福井のフレンチ革命『レ・クゥ』で舌鼓!?

『レ・クゥ』外観。石の壁は、オープンな福井では珍しい/Photo:MUNEAKI MAEDA

レストラン熱中派#34

あれれ、こんなにおしゃれな店になっちゃった!福井県福井市のレストラン『Les Queues(レ・クゥ)』を訪れて驚いた。以前、伺った時はリーズナブルな価格と、ボリュームもある料理が印象的な、親しみやすい店だった。それが昨年末にリニューアル。店構えからして大変身している。福井の店は敷地に余裕があるからか境のないオープンな造りが一般的だが、あえて石の壁を作り、周囲ののんびり気分をスパッと遮断した。店内に入ると、天井も高く、すっきりとしたダイニング。シェフが陣取るオープンキッチンの中央には石窯がある。テーブルにつくと、いくつかの面白い仕掛けがある。テーブルの下には引き出しがあり、中に並べられたカトラリーは料理に合わせて自分で取り出す。メニューはiPadの画面を見ながら選んでいく。器は、木のプレートやガラスの器を使うなど、東京、ヨーロッパの若手シェフたちが基本としている“イノベーティブ・フレンチ”(革新的フレンチ)のスタイルだ。

iPadでメニュー選び。ホームページのその他の情報からもお店の考え方が伝わってくる。右はオーナーシェフの阪下幸二さん/Photo:MUNEAKI MAEDA

オーナーシェフの阪下幸二さんは、東京のフレンチで修業後、故郷の福井に戻り、2000年に独立。リーズナブルで気軽に楽しめるビストロメニューを提供してきたが、徐々に意識が変わっていった。「福井の素材や、福井の伝統文化を自分の店に取り入れながら、多くの人に知って頂きたい。それには自分も惹かれるモダンなスタイルで表現する。これをやりたかったんです」。スタイリッシュな店づくり、石窯という原始的かつ料理の原点である調理器具を使った料理、生産者の元に通い、現場を知って手にいれた素材…これまでの福井のレストランには見られなかったこだわりをきちんとした形に整えたのが、新生『レ・クゥ』だ。

奥越産30日間寝かせ放牧若牛背肉の石窯焼き、奥越産放牧牛のレバー熾火焼きなどの素材は、放牧で北陸唯一の酪農を行っている生産者「ラブリー牧場」から。イノシシや熊などのジビエは坂井市の「トキクリエイト」のものを使ている(ちなみに代表の谷川氏は福井・北海道の両方で猟を行っているというジビエのプロ)。

さらに料理は、福井市鮎川町「ワタリグラススタジオ」のグラス、福井市「ウッディ工房美樹」の器、鯖江市「タナカ工芸」の漆器などに盛り付けられる。そしてカトラリーには、世界のシェフが憧れる高村刃物製作所のナイフ(ここのナイフは世界的に評判となっているもので、次回はここのお話し)をオーダー。地元との連携も、阪下シェフのセンスを基本にコーディネートされている。

金沢まで新幹線がのびて、福井にもアクセスしやすくなった。福井ならではの食を楽しめるのは和食だけじゃない。洋食の世界にも空間、技法ともグローバルなレベルを目指すレストランが登場していることに注目したい。ランチ2000円~4200円、ディナー4500円~8500円。

Photo:MUNEAKI MAEDA