環境に優しいホテル!?セントマリーナ琵琶湖

宿泊者の欲望#56

遙か古より近江の国は「食の宝庫」として知られてきた。その近江において、食も文化もライフスタイルも含め、最も影響力と存在感のあるのが日本最古の湖、琵琶湖である。460本もの河川が流れ込む湖として知られているものの、近年では周囲の開発も進み、固有の生態系を随分と失ってきている。そこで湖畔に誕生し、琵琶湖の原風景を取り戻そうと再生に取り組んでいるのが、環境型ホテル『セトレマリーナ琵琶湖』だ。

琵琶湖側から見た3階建てのホテル全景、1階にはレストラン。湖側には2箇所にビオトープが造られている/Photo: Kyoko Sekine

ホテルは「地域とともに」をスローガンに掲げ、2013年9月1日に開業した。以来、琵琶湖に対峙しエコトーン(陸域と水域、森林と草原 など、異なる環境が連続的に推移して接している場所。移行帯。一般に生物の多様性が高い/大辞泉)を再生し琵琶湖を守ること、地域の自然に負荷を掛けないこと、さらに地域のコミュニティの場として地域再生に取り組むと掲げている。開発や干拓、護岸整備で失ってきた琵琶湖の原風景を取り戻し、地域のあらゆる生命の繋がりを再生していくというのがホテルの狙いだ。

吹き抜けのエントランスから俯瞰で見たエントランスロビー/Photo: Kyoko Sekine

敷地は湖に面した36000㎡。その湖岸には内湖(湖岸の陸側にある小さい湖沼の総称)となるビオトープを2箇所造り、生態を宿す雨水池とした。湖と反対側にあるホテル棟の前庭には、里山育成林を造成している。

この建物デザインは滋賀県立大学准教授、芦沢滝一氏によるもので、県内の木材や土や石の再利用などをし、琵琶湖周辺環境再生に特別な配慮を試みている。また屋上9613㎡は完全に緑化され、繊細で緻密なデザインと専門的技法を駆使したお陰で、財団法人都市緑化機構主催の第14回、屋上・壁面・特殊緑化技術コンクールにおいて「環境大臣賞、最優秀賞」を受賞している。

完全に緑化された屋上から琵琶湖と対岸の比良の山々を望む。屋上ではパーティーも可能/Photo: Kyoko Sekine

ホテルから湖を見渡すと対岸には比良の山並みや比叡山が望める。客室は全てレイクビューで、冬場には西陽があたる。昼に充分に貯め込まれた熱は版築壁や土壁を暖め、夜には放熱され暖かい。夏の西陽は屋上緑化や土壁の空間仕上げで温度湿度の調整機能が働く。空調だけに頼らない先人達の智慧と最新技術が快適さを支えている。ホテルには環境に優しい様々な工夫が施されているのだ。

全14室、すべての部屋から湖が見え、美しい夕焼けも楽しめる。広いベランダに吊したハンモック/Photo: Kyoko Sekine

森を守るために、地元木材で造られた木の家具を随所に使ったホテル。貢献するのは「森林資源再生が管理されている木材 (フェアウッド)」を使用する株式会社ワイス・ワイスである。

ホテルに隣接するミュージックホールは「楽器建築」と言われ、風が天井に張られた弦を奏でるチャペルで、ウエディング人気が高い/Photo: Setre Marina Biwako

Photo: Kyoko Sekine、Setre Marina Biwako

■ホテル情報

セトレマリーナ琵琶湖
滋賀県守山市水保町 1380-1 ヤンマーマリーナ内
Tel:077-585-1125
http://hotelsetre-biwako.com