『グレンモーレンジィ』でウイスキー・ディナーを楽しむ

週刊ファッション日記 番外編

「ウイスキー・ディナーをガーデンテラス紀尾井町の『ノマド』というレストランで企画していますが、いかがですか?」というお誘いがあった。飲み物はウイスキーのみでフルコース料理を味わうというものだが、なんともまあ破天荒な企てだ。酒の神バッカスをも畏れぬ企てと言っても言い過ぎではない。

「ウイスキーがお好きでしょ?」という某国産ウイスキーTVCMに代表されるように、そのハイボールや水割りを和食に合わせる試みは盛んになされてきてそれなりの成果を収めてきた。今回のディナーはフレンチベースのステーキ・ディナーとのこと。どうしようかと迷ったが、ウイスキーが『グレンモーレンジィ』と聞いて「なるほど、それならイケルのではないか」と思って行ってみた。追加熟成のパイオニアでフルーティ&フローラルな風味を持ったワインのようなウイスキー、それがグレンモーレンジィだからである。追加熟成とは最初の樽から例えばワインの熟成に使用した第2の樽へ原酒を移し替えて香りや味わいを複雑化させる手法だが、パイオニアとしてグレンモーレンジィは信じがたいほど見事な出来栄えを誇っているのである。

赤坂プリンスホテル跡に昨年5月に完成した東京ガーデンテラス紀尾井町の飲食街にある『ノマド グリル ラウンジ』が今回選ばれたレストランだが、とくにTボーンステーキが人気だという。ステーキ・ディナーWITHウイスキーということで、ますます期待は高まる。

先ずオードブルは鮑のスプーンと雲丹のスフレに『グレンモーレンジィ オリジナル』をベースに紅茶のリキュールなどを合わせたカクテル。なかなか快調なディナーの滑り出しである。

オードブルは鮑のスプーンと雲丹のフラン。合わせるのはグレンモーレンジィと紅茶のリキュールのカクテル/Photo:Akira Miura

続いてサーモンとプロシュートのタルタル。これには2月24日に新発売された『グレンモーレンジィ バカルタ』(700ml/1万1880円)。このバカルタの熟成が実に込み入っている。まず選び抜かれたアメリカンオークを使った樽を作り自然乾燥。そしてこのカスクにマディラワインを満たし陽光のもと2年間熟成させ理想的なフレーバーを樽に与えた後に樽を空にしてスコットランドに輸送。これにバーボン樽で熟成した原酒を移して追加熟成して出来上がるというもの。マディラワインはその後どうするんだろうなどというのは下司の考えること(笑)で、これが料理(サーモンとプロシュートのタルタル)に実に適うのである。ワインならヘヴィーな白かライトな赤が適うのだろうが、グレンモーレンジィー バカルタとの相性の方がいいようにさえ思う。とにかく香りが素晴らしい。

アトランティック・サーモンと淡路プロシュートのタルタル&ビーツ・ヴィネグレット。合わせるのは2月新発売のグレンモーレンジィ バカルタ/Photo:Akira Miura

いよいよメインは30日熟成黒毛和牛のTボーンステーキである。普通はライトタイプの赤を合わせるのだろうが、それではいつもなんとなく物足りなく感じていた。今回はなんと『グレンモーレンジィ 18年』を合わせる。ロック&ウオーターで供されたがこれがなかなか。ワインが普及する前、当然スコットランドではステーキはウイスキーとともにこんな具合に食べられていたのだろう。オツなものである。グレンモーレンジィ 18年も旨いが、言うまでもなく肉も旨い。

30日熟成の黒毛和牛のサーロイン&ヒレ。合わせるのはグレンモーレンジィ18年/Photo:Akira Miura

デザートはチョコレートケーキとバニラアイスクリーム。普通ならブランデーを合わせるところだろうが、グレンモーレンジィの最高峰と言っていい『グレンモーレンジィ シグネット』を合わせる。なお熟成年数は非公開とのこと。ブランデーというかアルマニャックに比べてもっと背筋がピンとした深い味わいを持っている。デザートはブランデーよりこっちの方がいいという意見は多いだろう。

デザートチョコレート・コンポジション。合わせるのはグレンモーレンジィ最高ランクのシグネット/Photo:Akira Miura

私にとっては初めてのウイスキー・ディナーだったが、グレンモーレンジィのようなフローラル&フルーティなフレーバーと多彩なバリエーションを持っているウイスキーにとっては、なんの問題もないばかりか、実に魅力的にディナーを盛り上げてくれたのである。ワイン&ブランデーディナーに物足りない思いをされているウイスキー・ファンに是非おすすめしたいウイスキー・ディナーである。