『ゴーシャ』は『ガンリュウ』の後釜にあらず!?ギャルソン社のメンズウェア展示会から

『コム デ ギャルソン・オム プリュス』の2017-18秋冬のテーマは「ボーイフッド(少年時代)」/Photo:Akira Miura

砂漠のような東京でも…
週刊ファッション日記#40

2月初めに、南青山のコム デ ギャルソン(以下ギャルソン)本社で2017 -18秋冬メンズウェアの展示会があって取材したが、なかなか見どころ満載だった。『コム デ ギャルソン・オム プリュス』と『コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン』の2ブランドについては1月にパリで発表されたランウエイショーのハイヴィジョンビデオ上映も併せて行われていた。

『コム デ ギャルソン・オム プリュス』の2017-18秋冬のパリメンズショー(展示会放映のビデオ)/Photo:Akira Miura
『コム デ ギャルソン・オム プリュス』の2017-18秋冬のパリメンズショー(同社のビデオ放映から)/Photo:Akira Miura

先ず川久保玲による『コム デ ギャルソン・オム プリュス』。テーマは「ボーイフッド(少年時代)」。なんとも若々しいコレクションで70歳をゆうに超えている女性デザイナーの最新コレクションとはとても思えない。生と死を見つめ、時代に対して疑問と怒りを露わにする川久保玲のウィメンズのコレクションに比べると、従来からメンズウェアはそこまで切迫しておらず、今回のようにユーモアすら感じられるコレクションも登場する。中でも今回の「ボーイフッド」は肩の力が抜けた傑作だ。

『コム デ ギャルソン・オム プリュス』の2017-18秋冬のスニーカー(3万6000円)/Photo:Akira Miura
『コム デ ギャルソン・オム プリュス』の2017-18秋冬/Photo:Akira Miura

川久保玲が、自宅で日本のTV番組を見ている風景というのが想像できないので、まるで「りゅうちぇる」みたいだと言っても的外れなのだろうが、それにしてもTVを見ない川久保玲は、どうやって時代の空気を嗅いでいるのだろうか。一度、南青山の飲食店のケイタリング窓口で川久保玲を見かけたことがあった。私の方が目をあわないように身を隠してしまったが(笑)。結構ストリート・ウォッチングはするようだ。

『コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン』は、毎回ブランドとのコラボをメインに据えているコレクションだが、今回は『ザ・ノース・フェイス』とのコラボがメインになっていた。淳弥もやはりクリエイションの主軸はウィメンズにおいているようである。

『コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン』の2017-18秋冬/Photo:Akira Miura

さて、前回までだとギャルソン社のメンズウェアのラインナップは上記2ブランドに『ガンリュウ』が加わった3ブランド体制だったのだが、このコラムの前々回で書いたように、『ガンリュウ』は2017年春夏でブランド休止、デザイナー丸龍文人氏も退社した。しかし展示会では、上記2ブランドに加えて話題の『ゴーシャ ラブチンスキー』の2017-18秋冬ものが展示されていたのだ!こりゃ、なんだ!と同社に事情を尋ねると「パリ拠点のコム デ ギャルソンパリSAがゴーシャの商標権を取得している。同社社長のエイドリアン・ジョフィー(川久保玲の夫君)がモスクワに商用で出かけたときにコンタクトした。今後広報・プレス・小売り・卸売り業務を同社が行うが、社員になったわけではない。弊社傘下のセレクトショップの『ドーバー ストリート マーケット』には従来通り、それ以外にも今秋からは日本で弊社が展開している『ガンリュウ』ショップを始めとした小売店舗でも販売を行っていく」との答え。「では、『ガンリュウ』の穴埋めを『ゴーシャ』でということですか?」との問いには、「『ガンリュウ』のブランド休止と『ゴーシャ』の商標取得・販売開始とは何の関係もありません。うがった憶測記事は書かないで下さい」と念を押された。私もイイ歳なのでうがった記事は書かないが、それにしてもいいタイミングではある。今回の『ゴーシャ』は2018年のサッカーワールドカップがロシアで開催されることを先取りし、『アディダス』とコラボしたウエアが目についた。ゴーシャ・ラブチンスキーが才能のあるロシア青年であるのかどうかはもうしばらく評価を差し控えたいが。ギャルソン社が選んだデザイナーである。よもやその眼に狂いはないと思うが。なおゴーシャは近々、早ければ3月にも来日するという。

『ゴーシャ ラブチンスキー』の2017-18秋冬/Photo:Akira Miura
『ゴーシャ ラブチンスキー』の2017-18秋冬/Photo:Akira Miura

Photo:Akira Miura