ラヴェルの『ボレロ』が導く大メロドラマ!?

アメリカ、ロシア、ドイツなどから各界の芸術家が選ばれ、物語のモデルとなっている。ルドルフ・ヌレエフ(バレエダンサー)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮者)、エディット・ピアフ(歌手)、グレン・ミラー(音楽家)などがモデルだ。

音楽はフランス映画音楽界の巨匠2人が手掛けた。『ある愛の詩』(1971)のフランシス・レイと『ロシュフォールの恋人たち』(1967)のミシェル・ルグランだ。

最後はエッフェル塔の前で、モーリス・ベジャール(1927-2007)振付でジョルジョ・ドン(1947-1992)舞うバレエ『ボレロ』が強い印象を残す!

Photo:LES UNS ET LES AUTRES © 1981 Les Films 13-TF1 Films Productions. ALL Rights Reserved.

「ジョルジョ・ドンによるボレロのバレエ」は、日本で初めて、パフォーマンスとして知的財産権を獲得、許可なくこの振付で踊ることは許されない。ジョルジョ・ドンは、モーリス・ベジャール主宰の20世紀バレエ団のソリストだったアルゼンチン人ダンサー。惜しくも、1992年に45歳でAIDSのため早逝した。

『ボレロ』(原題Boléro)はフランスの作曲家モーリス・ラヴェル(1875-1937)が、1928年に作曲したバレエ音楽。初演は、1928年11月22日にパリ・オペラ座でワルテル・ストララム指揮、イダ・ルビンシュタインのバレエ団(振付ブロニスラヴァ・ニジンスカ)で行われた。

ハ長調で、一般的な演奏では15分程度である。ブレーク・エドワーズ監督の『テン』(1979)では、この曲の長さが面白い使われ方をした。セックスの前戯から本番まで、ちょうど15分ぐらいがちょうどいいらしい(笑)。

タッタタタ タッタタタ タッタッ タッタタタ タッタタタ タタタタタタ‥‥。

最初から最後まで(最後の2小節を除く)スネアドラム(小太鼓)による一定のリズムが刻まれるなか、フルート、ピッコロ、オーボエ‥‥と徐々に大編成になって、AとB、2パターンのメロディーが奏でられる。極めて単調な曲のように思われるが、実際の演奏は豊かな色彩をみせる。

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バレエ音楽のあらすじはこうだ。セビリアのとある酒場、ひとりの踊り子が足慣らしをしている。やがて興が乗ってきて振りが大きくなってくる。最初はそっぽを向いていた客たちも、次第に踊りに目を向け、最後は一緒に踊り出す。だから最初は小さい音で始まり、だんだんとボリュームが大きくなっていく。

この『ボレロ』は1961年ディスカ・シフォニスという女性ダンサーのためにモーリス・ベジャールが創作したダンスで、もちろんベジャールの最高傑作。ジョルジョ・ドンが1979年に男性ダンサーとして初めて踊り、自分のものにした。このジョルジョ・ドンによるクライマックスの『ボレロ』を観ているだけで腕をコの字に曲げて、エロティックこの上なく一見の価値がある。

2015年秋、デジタルリマスター版が日本でも公開された。

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