ベトナム戦争真っ只中の『この素晴らしき世界』!?

オトコ映画論#48


1987年のバリー・レヴィンソン監督の『グッドモーニング、ベトナム』(原題Good Morning, Vietnam)は、ひとりのラジオDJが兵士たちを笑いとロックで癒し、ベトナム人に触れ、戦争の冷酷さに翻弄された5か月間を描く、感動の実話だ。

『グッドモーニング、ベトナム』(DVD1,429円+税)/画像提供:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

主人公は、実在するディスクジョッキーのエイドリアン・クロンナウアー(1938-)。除隊後は弁護士となったが、彼は1965-1966年のあいだベトナム米軍放送の人気ディスクジョッキーだった。話はこうだ。ベトナム戦争真っ只中のサイゴンに、兵士たちの士気高揚のため呼び寄せられた米軍放送の人気DJクロンナウアー(ロビン・ウィリアムズ)。「グーッモーニン、ヴィエットナーム!」のシャウトともに始まり、機関銃のようなマシンガントークとギンギンのロックンロール満載の彼の放送は、たちどころに米軍兵士たちから絶大な人気を得る。ところが、時の最高権力者であるニクソン大統領までマナ板に乗せてしまう、彼の型破りな言動に驚いた軍上層部は彼の放送を中止してしまう‥‥。

すべて即興だという、まさにハマリ役のロビン・ウィリアムズ(1951-2014)の破天荒な熱演が痛快である。

ベトナム戦争物としては番外編に位置する本作は、まったく戦場からの視点(ベトコンのよる爆破テロなどはあるが、「直接的」な交戦シーンや残酷なシーンはない)が描かれていない所が興味深い。

敵対関係にあったアメリカとベトナムは、のちの1995年に国交を回復するから、本作の撮影は隣国タイ王国で行われた。そのためよく見ると、ベトナムは右側通行&左ハンドルに対し、劇中では左側通行&右ハンドルの車が通行している。またアオザイが似合っていたベトナムの美少女役のチンタラー・スカパタナちゃんは、実はタイのスター女優だった。

同僚であるフォレスト・ウィテカーや、上官であるJ・T・ウォルシュらの名演も忘れられない。