部下に仕事が任せられないのは、部下に仕事を任せないから!?

Illustration:Nao Sakamoto

心のふきだし #51

部下のやる気に悩んだことがないだろうか?

営業の仕事をして何年か経つと、部下が付くことがある。誇らしい気持ちもあり、それまでは何もかも自分でやっていたので、やっと仕事が少し楽になる、と嬉しかったりする。

けれども時間が経つにつれ、部下に対して「仕事をちっとも覚えない」「仕事に対するやる気がない」と不満になることも多い。

これは何故なのだろうか? 部下というものはやる気のない人間ばかりなのだろうか? 実は原因はあなたにあるかもしれない。

その昔、広告会社に入って3年ほど経ったころ、私はあるベテランの上司の下でアシスタントとして働いていた。いろいろなことを教わって仕事は楽しかったけれど、何だか常に物足りない気持ちがあった。

周りの同年代の男性たちはバリバリと、1人前に仕事をしていた中、いつまでもアシスタント職の私はみんなに置いて行かれたようか気がしていた。自分でもひとりで責任を持って担当出来る方法はないかと考えた。

そこで思いついたのは、既存の取引先はすでに上司の担当なので、「自分で新規を開拓すればいい!」という考えだった。それからというもの、毎日空いた時間が出来ると、ノートにアプローチしたい新規の取引先リストを並べ、1社ずつ連絡をしてみた。やっているうちに苦労の甲斐あり、何社かアポイントが取れたのだった。

しかしそのあとが問題だった。営業中は自分の自由に動けるわけではないので、行き先はすべて上司に報告する義務がある。すると必ず上司が「よし、一緒に行こう!」と言うのだった。最初の2社くらいは一緒に行ってもらっていた。

けれども、そうすると、新規を開拓する意味がなくなってしまう。私は“自分にまかせてもらう取引先が持ちたかった”だけなのだ。

そこで「上司がすでに予定を入れている時間に、新規先のアポイントを取ればいいんだ!」と思いついた。彼は予定を机のカレンダーに記してオープンにしていたので予定は容易にわかった。

すでに予定が入っているところを事前にチェックしておいて、新しく取れた新規先のアポイントをそこにはめていったのだ。この考えはとてもうまくいった。

上司にアポイントがとれたことを報告すると、やはりまた「一緒に行こう!」と言う。けれども自分の予定を見て、少しがっかりしながら「ごめんね、この日は予定が入っているから一緒に行けないな」と言う。私もがっかりした風を装い「そうですか、では一人で行って来ます!」という流れになった。

この方法はうまくいって、繰り返していくうちに、仕事のチャンスをいただき、自力で担当出来る会社が、徐々に増えていったのだった。それとともに、仕事に対するやる気が上がったのを覚えている。