『カルメン』はオペラのホームラン王である!?

週刊ファッション日記 番外編

新国立劇場でビゼー作曲のオペラ『カルメン』を観た(1月19日初日)。オペラ入門としてこれ以上にふさわしい曲はないだろう。

3幕仕立てで正味2時間40分はちょっと長いかもしれないが、退屈したり、居眠りするヒマがない。

なにせ全編男と女の「愛憎」の世界で、しかも展開が早くて、表現がストレートで、よく知っているメロデイが次から次に出てくる。

ある指揮者が『カルメン』を「上演が失敗するのが難しいオペラ」と評している。この夜も新国立劇場にいつもやってくるお客とは客筋が違う。

『カルメン』なら見てみようとか、『カルメン』だけは絶対見るというお客がかなりいるのだろう。超満員である。

私などは『リゴレット』でも『トスカ』でも似たようなものだろうと思うのだが、そうではないらしい。まさに“オペラのホームラン王”なのである。

『カルメン』は「上演の失敗が難しいオペラ」と言われるが、これは一にも二にも、カルメン役に人を得ることが条件だ。

フェミニスト協会から抗議されそうだが、大年増の歌手、太った歌手、踊れない歌手、芝居の下手な歌手は出演を遠慮してほしい。もちろんできれば美人が希望である。

私が言うのもなんだが、『カルメン』が歌うアリアはそんなに難しくないのではないか。少なくともカルメンのアリアが下手だったという上演やDVDにお目にかかった記憶がないし、本職は女優みたいな歌手が歌い演じた『カルメン』のDVDもあった。芝居心でカバーできる役なのだろう。

今回の新国立劇場の『カルメン』を観てみると、まずカルメン役のロシア人歌手エレーナ・マクシモワだが、これはかなりの高得点。昨年4月にこの新国立劇場でマスネのオペラ『ウェルテル』に出演し、ウェルテルの求愛を退ける倫理感の強い人妻シャルロットを見事に演じた彼女だが、あの時はかなり「地顔」だった。

今回はそれとは正反対の奔放なジプシー女カルメンを演じたわけだが、その「化け方」には驚いた。