ジャン=ジャック・ベネックス監督の『ディーバ』は、カタラーニの『さよなら、ふるさとの家』とともに

オトコ映画論 #46

オペラファンにとって忘れられないのは、憧れのオペラ歌手の歌声を高性能録音機で“盗む”郵便配達夫でオペラマニアの主人公が登場する、1981年のジャン=ジャック・べネックス監督作品『ディーバ』(原題 Diva)だ。

これは、ヌーヴェルヴァーグ以後話題に乏しかったフランス映画が久々に放ったエポックメイキングな作品で、仏セザール賞で新人監督作品賞など4部門を受賞。日本ではフランス映画社配給で1983年11月ロードショー。

その後、べネックス監督の『ベティ・ブルー』(1986)、リュック・ベッソン監督の『グラン・ブルー』(1988)、レオス・カラックス監督の『ポンヌフの恋人』(1991)など、新しい時代のフランス映画が生まれた。

シンシア・ホーキンス(ウィルヘルメニア・ウィギンズ・フェルナンデス)は、世界最高の美声の持ち主といわれている黒人のオペラ歌手。しかし、生の声を大事にする彼女は自分の歌をけっしてレコーディングしない。そんな彼女に魅せられた18歳の純朴な青年、郵便配達夫のジュール(フレデリック・アンドレイ)は、そのシンシアがパリでコンサートを開いたので、客席から彼女のアリアをテープに隠し録りする。

そんななか、彼のモビレット(原付自転車)に、売春組織の内幕を暴露した告白テープが隠されたことから、存在しないはずのシンシアの音声テープ、闇組織の秘密が録音されたテープという2本のテープをめぐって組織から追われ、彼は迷路のようになったパリを逃げる。

画像提供:株式会社アネック