2016年のファッション&アパレル重大ニュース(後編13~27、前回から続く)

砂漠のような東京でも…
週刊ファッション日記 #36

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■13:三陽商会の苦境続く。昨年リストラ済ませたワールド、TSIホールディングスははやくも効果が表れる

いわゆる大手アパレル(アパレル製造卸し)では、MBA出身者を起用して店舗、ブランド、人員の削減を昨年中に行ったワールド、TSIホールディングスなどでは今年になって早くもそれなりの効果が出ている。

問題は、“出血”を止めた後で、次代を担う新規事業なり、新ブランドが生み出せるかどうかだ。昨年『バーバリー』とのライセンス契約が延長できなかった三陽商会の苦境は続いている。200人クラスの人員削減を2回、不採算ブランドの廃棄も急ピッチで進められている。なお同社は1月1日付けで岩田功・常務執行役員が杉浦昌彦・社長に代わり新社長になる。

 

■14:卑弥呼にTOBで上場廃止&同族経営に終止符

中堅靴メーカーでジャスダック上場の卑弥呼にNEC系のファンドがTOB(株式公開買い付け)を仕掛けて、卑弥呼は上場廃止。後継者難だった創業家の柴田一族も経営から去った。業績不振企業は同族経営ではもはや立ち行かないのだ。2016年はファッション&アパレルの上場企業へのTOBが多発した年でもあった。

 

■15:セブン&アイ鈴木敏文・会長辞任問題の波及、ニッセン上場廃止

セブン&アイ・ホールディングスの社長人事をめぐって同社の中興の祖ともいえるコンビニ事業の創始者鈴木敏文・会長が突然の辞任。

コンビニ事業は順調だが、後任の井阪隆一・社長にはスーパー事業、百貨店事業の抜本的立て直しが求められている。なお同ホールディングス傘下の通販会社ニッセンは上場廃止で本体傘下の事業会社になった。

 

■16:ファミリーマートとユニー(傘下のコンビニのサンクスとサークルKはファミリーマートへ)合併でユニー傘下のパレモ、さが美の株をファンドに売却

コンビニチェーンのサンクスとサークルKを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスがファミリーマートに今年9月1日吸収合併されユニー・ファミリーマートホールディングスになった。

サンクスとサークルKはファミリーマートに転身し、ファミリーマートは18,000店舗体制になり、首位の18,800店体制のセブンーイレブンに肉薄する。これによりユニーグループ・ホールディング傘下のさが美、パレモはファンドにTOBにより売却された。流通業界では唯一順調のコンビニ業界も戦国時代に突入か。

 

■17:アメリカン・アパレル、2度目のチャプター11申請と日本撤退

アメリカンアパレル社は2度目のチャプター11申請。ファンが多かった日本市場からも撤退。変人というかエロオヤジというか型破りの経営者ダブ・チャーニーが創業したキャラクターSPAも事実上の倒産である。理由はひとつ、売れないのである。

 

■18:東京コレクションのスポンサーがベンツからアマゾンへ

パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンに次いで重要性があると言われる東京コレクションのスポンサーがメルセデス ベンツからアマゾンに代わった。車メーカーよりはEコマースの方がファッションに関係はありそうだが、スポンサー交代の理由は明らかになっていない。

 

■19:バロックジャパンリミテッド東証1部上場も株価さえず

ジャパンイマジネーション、マークスタイラーと並んで日本のキャラクターSPA御三家と呼ばれるバロックジャパンリミテッドが東証1部に上場した。年商600億円に成長した同社だが、株の過半数は中国の靴大手企業のベルインターナショナルの傘下企業が保有。売却の可能性が示唆されていることもあり、11月1日上場後の株価の推移は芳しくない。

 

■20:ハロウインバカ騒ぎは1,400億円の経済効果でバレンタインデーを抜く

10月31日のハロウインの都心を中心にした仮装バカ騒ぎは1,400億円の経済効果があると推測され、バレンタイン・デーを抜いた。一説に「リオのカーニバル現象」と言われ、格差社会に怒る若者たちのはけ口になっているのでは、と考えられている。

 

■21:『ディオール』の後任アーティスティック・ディレクターに「ヴァレンティノ」のマリア・グラツィア・キウリ、サンローランにバカレロ

相変わらず、ラグジュアリー・ブランドではデザイナー交代が活発だが、あまり話題にならなくなった。『クリスチャン ディオール』のマリア・グラツィア・キウリは同メゾンで初のクチュリエール誕生ということで注目された。

 

■22:スポーツ企業の好調続く。「アスレジャー」「グランピング」は今年の流行語
■23:スニーカーブーム続く

ファッションはもはや「カジュアル」を超えて「スポーティブ」であることをテーマにしている。エレガンスを核にしたファッションはもはや時代遅れですらあるのだろうか。

 

■24:Eコマースの拡大続く。リアル店舗への影響もそろそろ懸念

Eコマース拡大はファッション&アパレル企業の生き残りの必須条件であり、オムニチャネルでリアル店舗との連携強化することで、リアル店舗はショールームとしての役割を担うと教科書には書いてあるが、Eコマース拡大で、リアル店舗の売り上げが減少する事例がそろそろ現れそうだ。

 

■25:2次流通市場急拡大。キーワードは「シェアリング」「リサイクル」「エシカル」

ファッション販売で今後確実に拡大が見込めるのは、2次流通と呼ばれる市場だが、その中でも、「シェアリング」「リサイクル」「エシカル」というコンセプトで志高く運営されているものが最後に残るのではないか。

 

■26:アネキャン(小学館)、ゲイナー(光文社)休刊
■27:書店の閉店続く

印刷媒体はますます厳しい状況に置かれている。紙からWEBへのシフトがさらに加速しており、毎日のように書店が閉店している。紙の雑誌はそうした中でもっとも厳しい状況に置かれている

WEB雑誌のマネタイズ手法が確立し始めており、さらにWEBシフトが進むだろう。2016年にファッション誌、ライフスタイル誌で廃刊した有名雑誌2誌の名前を挙げておく。

 

Photo:Antonio Ovejero Diaz , MaraZe/Shutterstock