『マッドマックス/怒りのデス・ロード』は、豊かな色彩に溢れた白黒映画である!?

こうして観終わると、僕のカラー映画の記憶がきれいに消し去ってしまっている。どちらかというと、黒澤明の『七人の侍』(1954)や『用心棒』(1961)を観終わった雰囲気に似ている。僕は超ド級の満足感を味わったのだ。娯楽性においてシネマスコープによる『用心棒』は黒澤明の最高の一本だから、この譬えはけっして間違っていない。

実際にジョージ・ミラー監督は本作のインタビューで、影響を受けた黒澤明作品として、『七人の侍』『用心棒』と『蜘蛛巣城』(1957)を挙げている。

最初から白黒映画をイメージして作ったとしか思えない。白黒映画の階調(グラデーション)がくっきりと見えて、豊かな色彩感に驚くのだ!

この白黒映画における階調は、幾多の映画作家たちが格闘してきた映画史のようなものだ。すごく有名な話では、黒澤明の『羅生門』(1950)の雨には、雨を黒く見せようと墨汁が入っている。

反対にハレーションを起こす白には、時に発色が良いピンク色やイエロー色が使われた。あの有名なウィリアム・ワイラー監督の『ローマの休日』(1953)で、オードリー・ヘプバーンが着た白いドレスは、実はピンク色だった。また、カール・テオ・ドライヤー監督の『ゲアトルーズ』(1964)では白さを際立たせるため、壁がイエロー色に塗られた。ドライヤー監督(1889-1968)にとっては最期の作品だが、世界中でカラー映画が作られていた時代だから、これは異様なことだ。

本来ならば、音楽コラムとして追走する「ドーフ・ウォーリヤー」(軍楽隊)の火を噴くエレキギター奏者の演奏について触れなければならないが、ジョゼッペ・ヴェルディ作曲の『レクイエム〈怒りの日〉』が微かに聴こえる程度だから、取り上げるまでもないだろう。

映画『マッドマックス/怒りのデス・ロード』ブラック&クローム版の劇場公開は、2017年1月14日(土)。上映されている映画館で、この白黒画面の美しさを堪能してほしい。シネマサンシャイン平和島やユナイテッド・シネマとしまえん&豊洲では4DX上映でもある。立川シネマシティあたりの極上爆音上映だったら、ものすごい興奮だろう!

また、ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントから2017年2月8日(水)に3,990円でブルーレイ版(2枚組)がリリースされる。同日、『マッドマックス』全作品を集めた〈ハイオク〉コレクション(8枚組)が9,990円でリリースされる。

Photo:Warner Bros. Japan LLC

 

Photo:Warner Bros. Japan LLC