カルーゾが提唱する『グッドイタリアニズム』にクールジャパンが学ぶべきこと!?

モード逍遥 #25

ある日、業界の重鎮のおひとりマダム・エンドウから封書が届いた。11月末の夕刻、六本木の国際文化会館に於いてウンベルト・アンジェロー氏によるファッション・セミナーがあるので、空けておいてネ、というご命令である。

Photo:CARUSO
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このセミナーはカルーゾの主催により日本のジャーナリストやバイヤーなどが招待された。今回はその第2回目。セミナーのテーマは“グッドイタリアニズム”である。

ウンベルト・アンジェローニ氏は、90年代にブリオーニのCEOに就任、一時期はクラシコイタリア協会の会長も兼任していた。その後、2008年に北イタリアはパルマのソラーニャに工場をもつ高級紳士服ブランド、『カルーゾ』の経営者となり現在に至っている。

ウンベルト・アンジェローニ
Photo:CARUSO

知性的なウエルドレッサーであり、また美食家としても知られ、これまでにブートニエールに関する本『The Boutonniere: Style in One’s Lapel』などを著している。そんな文化人のアンジェローニ氏らしく、今回のテーマ“グッドイタリアニズム”は、ヘミングウェイ最後のノンフィクション作品といわれる『危険な夏』から採ったものだという。

まずはその一文を諸岡敏行訳・草思社版から引用してみよう。

「愉快な旅をしたいなら、わたしにならって生粋のイタリア人を道連れにすることだ。メアリとわたしはとびきりのイタリア人ふたりと、長い年月を走りぬいてきたランチアに心地よく収まり、緑にけぶるピダソア渓谷を出て、上へ上へと登りつめていた」

– アーネスト ヘミングウェイ(著)諸岡 敏正(訳)『危険な夏』(草思社 , 1987年)

ヘミングウェイの一節は、イタリア人の資質、特長、心性、嗜好といった文化レベルが他に比較して高いことを表したものだと、アンジェローニ氏は力説する。

また最近、ラクジュアリー製品の需要が世界的に下落しているのは、真にラクジュアリーなアイテムを作っているブランドが少なくなってしまったのが要因のひとつであり、それを再び蘇らすためには洗練された本物の“グッドイタリアニズム”は不可欠だ、というのが今回のセミナーでの主張である。

ならば“グッドイタリアニズム”とは何か? それを我々に示すために、氏はカルーゾが製作に関わったショートムービーを上映したのである。

ヴィジュアルは国境や言葉の壁を超えるというが、まさにその通り。

マルチェロ・マストロヤンニの再来と形容されるジャンカルロ・ジャンニーニが主演するその素晴らしい映像は、何万言の説明よりも端的に“グッドイタリアニズム”の意味を筆者に伝えてくれた。