安部公房、ゴジラ、ジョビン…。ヤマザキマリ流、読書の仕方 ~ヤマザキマリ(漫画家・随筆家)Vol.2

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『テルマエ・ロマエ』『スティーブ・ジョブズ』などの作品で知られる漫画家のヤマザキマリさん。現在、イタリアをベースに活動するヤマザキさんにイタリア、日本両方の本棚を見せてもらった。あの精緻な描写を実現するために読んだ数々の資料本と共に、安部公房をはじめ国内外の作品が並ぶその本棚からは、かなりの“本好き”の横顔が垣間見える。ヤマザキさんの作品に漂う独特な世界観や、史実の捉え方のヒントはこの本棚にありそうだ。

PROFILE:ヤマザキマリ

漫画家・随筆家。1967 年東京都生まれ。 1984年に渡伊し、フィレンツェの国立アカデミア美術学院入学。’97年漫画家デビュー。イタリア人の比較文学研究者との結婚を機に、シリア、ポルトガル、アメリカを経て現在 はイタリア在住。2010 年古代ローマを舞台にした漫画『テ ルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞、第14回手塚治虫 文化賞短編賞受賞。世界8か国語に翻訳される。著書に『モーレツ!イタリア家族』『プリニウス』(とり・みきと共著)、文筆作品では『国境のない生き方』『マスラオ礼賛』等多数。平成27年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

 

—本棚のこちらの部分が他と比べてちょっと異質ですね。アントニオ・カルロス・ジョビン、安部公房、ゴジラ、デルスウ・ウザーラ……。その他、新書もありますし、ヤマザキさんの趣味が反映されているのでしょうか?

学生時代から大好きだった安部公房は、随筆から小説、戯曲に至るまでだいたい手に入るものは読んでいるのでないかと思います。

デルスは長男が誕生した時にその名前を命名するくらい、かつて衝撃を受けた黒澤の映像作品ですが、実はその後に読んだアルセニーエフの原作小説のほうが気に入っています。今も、「何が読みたいか判らないけど取りあえず……」というときに手にする本の一冊です。そんなわけで、デルス・ウザーラは日本、イタリア、リスボンの3ヵ所に常備してあります。

ジョビンも小学生から聞いているミュージシャンのひとりです。ジョビンに限らずブラジル音楽については幅広いジャンルに結構嵌って、最終的には音楽だけでなく表現者達やボサノヴァを生んだブラジルという歴史や社会のバックグラウンドなど、総轄して興味を持つようになってしまい、いろいろ調べたりした時期があました。

ゴジラは単に子どもの頃から日本の特撮ものを見てきた世代だったからというのもありますが、大人になってからのほうが熱心に見る様になったかもしれません。1番好きなのはモスラなんですけども(笑)。

新書については友人や出版社から送ってもらったもの、自分で買ったものが渾然一体となっております。