シャトー・ラ・コンセイヤントとフィジャック。ボルドーは進化し続ける!?

ワイン縦横無尽 #28

シャトー・ラ・コンセイヤントのオーナーで、シャトー・フィジャックのマネージングディレクターを務めるジャン・ヴァルミー・ニコラが、ボルドーから来日した。ラ・コンセイヤントは北をペトリュス、南をサンテミリオンのシュヴァル・ブランと接するポムロールでも五指に入るシャトー。フィジャックはサンテミリオンにわずか18シャトーのみのシュヴァル・ブランと双璧をなす、サンテミリオンのプルミエ・グラン・クリュ・クラッセである(18のうち4つは別格のプルミエ・グラン・クリュ・クラッセA)。

どちらも黙っていたって売るのに困らないワインにもかかわらず、経営者が自らわざわざ日本に来るのは異例。どうやら両シャトーの近年の進化を、日本のワインラヴァーにどうしても伝えたかったようだ。

ラ・コンセイヤントは11.8haのブドウ畑に、ポムロールでは標準的なメルロー80%、カベルネ・フラン20%の割合でブドウを植え付けている。ところが近年の調査により、土壌の構成が粘土質60%、砂礫質40%ということが判明。メルローは水はけの良い砂礫質を好まないので、現在、砂礫質土壌で栽培されているメルローを引き抜き、カベルネ・フランに植え替えている最中だという。

カベルネ・フランの比率を高める動きは、ボルドー右岸のトレンド。90年代は右岸のシャトー全体が、カリスマ的評論家のロバート・パーカーに媚びるように、彼の大好きなメルローの比率を高め、リッチで豊満なワイン造りに傾倒した。ところが猛暑の2003年、メルロー主体のワインだと重くなり過ぎ、さらに熟成に向かないということが明らかに。その後も続く温暖化から、メルロー偏重を改めている。カベルネ・フランはワインにフレッシュさをもたらすからだ。

また、2011年に新しい醸造施設が完成。小型のコンクートタンクを22器備え、ブドウ畑の区画ごとに最適なタイミングで収穫し、個別に醸造できるようになった。以前は8器の大きなステンレスタンクだったが、これだと未熟なブドウも熟したブドウと一緒に収穫し、仕込まなければならなかったのだ。

さらに、昨年はポムロールのプティ・ヴィラージュで活躍した女性醸造家のマリエル・カゾーを醸造責任者として引き抜き、コンサルタントにミシェル・ロランを起用して、醸造面での戦力強化を図っている。