アプローチャブル・ラグジュアリー!? “ティファニー”の強み

砂漠のような東京でも…
週刊ファッション日記 #32

トランプ・タワーでまたまた脚光を浴びることになったニューヨークの五番街であるが、もちろんその不滅のメルクマールはティファニー本店である。なにせトルーマン・カポーティの傑作小説「ティファニーで朝食を」(1958年)、それを映画化したオードリー・ヘップバーン出演の映画「ティファニーで朝食を」(1961年ブレイク・エドワーズ監督)というダブル名作がその圧倒的知名度を支えている。

「ティファニー」はカポーティとオードリーにいくら礼を言っても言い足りないだろう。その後「プラダを着た悪魔」なんていう題名にブランド名の入った映画も出たが、恐らく「プラダ」は渋い顔をしているはずだ。

前置きはそれぐらいにして、日本の宝飾市場では「カルティエ」と「ティファニー」は、売り上げ(両者とも年商700億円程度だろう)と知名度でトップを競う二大ブランドである。玄人好みの「カルティエ」、大衆好みの「ティファニー」というイメージがある。

ラグジュアリー・ブランドである以上、それぞれそんな片寄ったイメージは払拭したいから、「カルティエ」はラブリングに代表されるようなエントリープライス商品を提案し続けて来たし、「ティファニー」は、“アメリカン・ラグジュアリーはヨーロッパのそれに比べて底が浅い”なんてことを言われないために、ティファニー社が所有する貴重なアーカイブを惜し気なく披露するのである。

ティファニーのハイジュエリーコレクション『マスターピース コレクション2016』の日本での発表を記念して、ブランドが所有する貴重なアーカイブコレクションが11月27日まで銀座本店3階で公開された。その目玉はなんと言っても通称「ティファニーダイヤモンド」と呼ばれる世界最大級のイエローダイヤモンドだ。これは128.54カラットにカットされた最高品質のイエローダイヤで、今回120カラットのホワイトダイヤと共にデザインされ、制作に1年を要しネックレスになった。

提供:TIFFANY & Co. JAPAN Inc.
提供:TIFFANY & Co. JAPAN Inc.

過去にはオードリー・ヘップバーンが映画「ティファニーで朝食を」のプロモーションの際に着回したリボンロゼットネックレスなど、4回デザインを変えている。「ティファニー」にとってはまさに「神器」(じんぎ)と呼べるような存在であろう。この他にも銀座店3階には1870~1960年代のアーカイブが展示されていた。私の錯覚かもしれないが、このアーカイブを見ていると、世界に冠たるナンバーワン経済国家アメリカの全盛期というのは1960年代あたりであって、その富が集結するこうした宝飾品のアーカイブも、今後これを超えるのは難しいのではないかという気がしてくる。